盆明け市況展望
地域間で需要に温度差
輸入品は円高圧力影響か
東日本大震災の影響がまだ残っており、震災直後に手当てした輸入合板を中心に在庫は過剰気味で推移している。宮城、岩手などの内陸部を中心に復興需要の台頭が聞かれ、首都圏では住宅エコポイントの期限が前倒しになったことで、プレカット工場には駆け込み需要が殺到したといわれた。その一方で震災直後に記録した過去最高水準の円高は、再び最高水準で、市場では輸入製品に価格引き下げ圧力が掛かってきた。震災を契機にした様々な変化が市況判断を難しくさせており、また地域差や企業の規模による格差が開いていることを感じさせる。市場の変化が激しいほど、組織力、情報力を生かせる企業と場当たり的な対応しかできない中小での差がついていくことを感じさせる。
需要面では住宅エコポイントの7月末着工での打ち切り、フラット35Sも9月末で終了するなど、財源不足により住宅支援策が尻すぼみになっていくことで来年以降の需要への不安がある。当面はこれら支援策の前倒しで、駆け込みが発生しており、プレカットを中心に忙しくなっている。住宅エコポイントは7月末着工が期限なので、上棟ベースでは8月、9月までずれ込むものもありそうで、旧盆休みに工場を動かすところもあった。
夏場にかけてのプレカット工場の受注が増加したことで、輸入製品、特に構造用集成材の市況は弱含みながらも、大きな相場下落もなく持ちこたえたともいえそう。
東北、宮城・岩手内陸部では、新築の復興需要が台頭してきており、受注をこなしきれないビルダーも出ている。東北向けではルート販売も好調で前年比倍増を上げているところもある。首都圏では、大手ハウスメーカーの受注は一進一退、パワービルダーも堅調だが、やや勢いがなくなってきている感がある。関西、九州など西日本で住宅需要はやや低調ともいわれる。
住宅取得支援措置が今後、先細りしていくなかで9月末のフラット35Sの後は、需要が失速していくのか。消費税議論が今後、本格化し、消費税駆け込み需要につながるのか。需要動向が見極めにくい状況が続いていくものと見られる。
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