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 No.1971号

木質バイオマス発電最前線

新設計画のその後を追う

7月1日で再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が施行して丸2年が経過する。資源エネルギー庁が発表している再生可能エネルギー発電設備の導入状況では、木質バイオマス発電は、2月末の認定数が31、認定容量は61万8,115kWまで増えたが、稼働している発電所は4万2,985kWで依然として限定的だ。

この内訳は、主に未利用木材を活用する発電所の総稼働容量が1万2,900kW、一般木材が2万9,765kW、建廃が320kWとなる。資源エネルギー庁は該当企業名を公表しないが、発電規模から推察すると未利用がグリーン発電会津(福島県、5,700kW)、いいづなお山の発電所第2(長野県、1,500kW)、グリーン発電大分(大分県、5,700kW)の3件。一般木材が二宮木材(栃木県、265kW)とPKS(ヤシ殻)100%のイーレックス(高知県、2万9,500kW)の2件。建廃はバイオマス資源活用コージェネレーションシステム(沖縄県、320kW)のみとなる。

これら以外に現在までに稼働している発電所は未利用材や製材端材を活用するウッティかわいがあり、そのほか、今年中に那珂川バイオマス発電、三重エネウッド、岐阜バイオマスパワーなどが稼働する予定だ。

新設バイオマス発電所は今年から来年にかけて稼働が集中してくる。FIT認定下では総数50程度が新規計画として浮上していたが、14年から15年末までに稼働が見込まれる発電所数は全国で32カ所(本紙推計)。その年間燃料消費量を集計すると、298万㌧という膨大な規模で、燃料由来では間伐材が188万㌧、林地残材が4万5,000㌧、製材等工場端材が37万㌧、一般木材21万㌧、建廃23万㌧などとなる。未利用材は採算難と受け皿不足で山に捨てられたが、バイオマス需要台頭で価値が見直されているほか、製材工場も製材品に適さない部位(端材、鉋屑、バーク等)をバイオマス発電で売電すれば事業安定性につながる。一方で、既存需要者や稼働済み発電所にとっては自分達の燃料確保で数量と価格が従来どおりに調達できるかという懸念が増しており、新設発電所需要とどうやって燃料面の共存を図っていくかは引き続き課題だ。バイオマス発電の新設計画のその後の状況を追った。

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