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 No.2004号

2014年住宅着工分析

消費増税で需要先食い
戸建て、分譲で落ち込み鮮明

14年の新設住宅着工は89万2,261戸(前年比9.0%減)となった。13年は消費税率引き上げ前の駆け込み需要もあって98万25戸(同11.0%増)に回復し、リーマン・ショックの影響が出る以前、08年の109万3,519戸以来の100万戸に迫る勢いだった。14年は駆け込みの反動減が続き12年水準まで減少した。17年4月に消費税率10%への引き上げが待っていることで、消費税率10%時代の新設住宅着工については、税負担の大きさと住宅ストックの充足、さらには人口減少問題などもあって悲観的な見方が強くなっている。

14年の住宅市場は貸家が36万2,191戸(同1.7%増)とわずかだが増加し、3年連続での増加になった。これは相続税の課税強化が今年1月から行われるため、相続税対策として賃貸住宅建設が盛んになったことが主因だ。基礎控除額が縮小され、地価の高い都市部などでは小規模地主でも相続税の課税対象になるケースが増え、その対策として土地評価額を低減できる特例を生かして住宅会社が営業を強化した結果だ。

 持ち家は28万5,270戸(同19.6%減)と落ち込みが大きく、09年水準まで減少した。大手ハウスメーカーは戸数の減少を環境対応機器などの装着率の向上で単価アップを行い、戸数減を補ってきた。一方でビルダー層は価格競争に巻き込まれ、戸数減に加えて単価も厳しくなっている。住宅ローン控除の対象になる所得税の支払いの少ない、1次取得層に対しては政府がすまい給付金制度を設けて底上げを図ってきたが、その効果は限定的だった。

 さらに戸建て分譲住宅が12万5,421戸(同7.0%減)と低調で、販売が苦戦していることで、ビルダーは新規着工を先送した。そのため、14年後半は持ち家、戸建て分譲など木造戸建て住宅の着工が抑制され、プレカット工場への加工依頼も減少した。

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