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 No.2097号

2017年 供給展望

米中2大消費地が堅調推移
日本市場、円安と産地高に苦しむ

2017年の主要木材産地の供給は、米中2大市場にけん引される構造が続きそうだ。16年の米国新設住宅着工戸数は116万戸台で前年比5%近く増加し、07年以来の高水準となった。好調な米国新設住宅着工を受けて米加産材の産地価格は上昇基調にあるが、懸念の一つが期限切れとなった米加針葉樹製材協定。米国の製材業界団体はカナダ材に対し相殺関税を求めており、今後、仮に米国がカナダ材に対して高率関税を課すことになれば、カナダから米国への製材供給は制約を受けることになりかねない。

一方、北米産材が堅調な米国市場へ向かっているなか、もう一つの巨大木材市場である中国向け針葉樹材は、ロシア材とNZ材を主軸に置いた調達が展開されている。とりわけロシア材は製材品で中国向けの供給量が大幅に増加しており、丸太と製材品を合わせた供給量ではNZ材を大きく引き離してきた。中国需要はさほど盛り上がり感はないが、1月から天然林伐採禁止の完全施行を行ったことが影響して外材需要が底堅く推移していると言われており、新規入荷分は過剰在庫にならず順調に国内消費されている。

 米中需要の堅調さが続くなか、日本向けは産地価格の高値張り付きと円安で輸入材の値上げ圧力が増している。少なくとも春先まではプレカット工場の忙しさが継続する見込みだが、昨年末から高コスト材の消費が始まっている。米国新大統領就任後の為替動向が不安定になっているが、1㌦110円台という円安は続いており、輸入資材の価格転嫁要請は当面緩むことはなさそうだ。

 国産材関連は円安が好材料に働きそうだ。世界経済の行方次第の部分はあるが、急速な円高による外材の入荷急増や価格下押しは避けられるとすると、国産材自らの需給バランスという内的な対応が求められることにはなる。目下の丸太価格は好調な製材品の引き合いに支えられる形で強基調だ。ただ、昨年の価格動向を踏まえると、今年も需給緩和は4月ごろからと見られ、需給バランス次第でずるずると夏場まで底値を探る展開も予想される。

 各産地、業種別に今年の供給状況を展望した。

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