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機能や意匠性を重視

 住宅とともに進化を遂げてきた外壁材。土壁に杉板を化粧板として張った物から始まり、建築基準法による防耐火基準の強化とともに湿式のモルタル塗り全盛期に入った。そして、施工手間やコストが掛からない窯業系外装材に代表される工業製品が市場規模を広げた。このほかに北日本や寒冷地で市場シェアの高い金属サイディング、耐久性や防火性に優れる点が評価されている軽量気泡コンクリート(ALC)、焼き物由来の高い高度で傷付きにくいタイルや陶板の外壁材、自然の風合いを生かした木材外壁材など種類が豊富だ。
ニチハ

 高付加価値の「フュージェ」好調

 

 ニチハ(名古屋市)は、国内を代表する窯業系外壁材メーカーとして多数の商品を展開している。現在の主力商品「Fu‐ge(フュージェ)」は高い付加価値を持つ製品で、外壁材の欠点とされるシーリング劣化の問題を解決する新工法「ドライジョイント工法」が継ぎ目の目立たないた壁面に仕上げ、超高耐候塗料の採用で約30年相当のロングメンテナンス化を実現している。

ケイミュー

 高機能と意匠性が充実

 

ケイミュー(大阪市)の窯業系サイディングや金属サイディングは、高い機能性や表現が豊かな意匠性の商品群が充実。なかでも最上級品の「光セラシリーズ」は、無機質のセラミックコートが紫外線をガードし、色あせや日焼けを抑えるほか、光触媒の働きが汚れを分解し、汚れを雨水で浮かせて洗い流すなど、静電気の発生も抑えて汚れを付着しにくいなどのセルフクリーニング機能を持つ。これらにより塗り替えの頻度が少なく、ライフサイクルのメンテナンスコストが軽減され、戸建て住宅以外にも外壁面積が大きい学校や保育園、高齢者施設等の大型建築物に最適な商品だ。

旭化成建材

 PBフラット目地工法を本格発売

 

 軽量気泡コンクリート(ALC)の製造・販売大手である旭化成建材(東京都)は、木造住宅向けALCの約90%シェアを占めている。木造住宅向けALC「ヘーベルパワーボード」(37㍉厚)は、適切なメンテナンスを行うことで60年は張り替えが不要とされ、耐久性が高いほか、防災性や断熱性、遮音性にも優れているのが特徴だ。4月下旬からは、新商品である「PB(パワーボード)フラット目地工法」を全国で本格的に発売開始する。PBフラット目地工法は、ヘーベルパワーボードに独自の目地処理技術(特許出願済)と専用塗装仕上げの組合せで、パネル間の目地を平らに仕上げることが可能だ。ALCの高性能(耐久性、防災性、断熱性、遮音性)を持ちながら、壁全面に一体感が生まれことで、和風、南欧風の建物の外壁にも違和感がなく高品位な仕上がりを生み出している。

鶴弥

 陶板材の販売本格化

 

 鶴弥(愛知県半田市)は昨年10月、瓦製造技術を応用した陶板壁材「スーパートライWallシリーズ」を発売し、外壁材市場に参入した。独自の高温焼成技術による高耐久性、焼き物特有の質感やデザイン性を差別化要素として住宅・非住宅分野への普及を目指している。スーパートライWallシリーズは、長さ900~2000㍉×働き幅303㍉×厚20㍉(1平方㍍当たり重量30㌔未満)の製品で、粘土瓦の製造技術を応用し、原料粘土を練って押し出し成形機で板状にしてカットし、乾燥・施釉のあとローラーハースキルンで1130℃以上の熱を使って焼き締めて製造する。高温焼成による硬い陶器質のため粘土瓦と同様の高耐久性を持ち、デザイン的にも焼き物の風合いと高級感のある質感を特徴としている。施工性についても、中空形状による軽量化や大判化+金具止め工法の採用により窯業系サイディングと同等レベルを実現している。

旭トステム外装

 9月に10尺品を全国販売開始

 

旭トステム外装(東京都)は、2月に一部地域(北関東、関東、中部)や地元ビルダー限定で、窯業系サイディングの長さ3030㍉(10尺)品や出隅部材レス「PZシリーズ」を先行販売した。従来品は、長さ1820㍉(6尺)品を標準としていたが、施工性の向上や材工コストの削減を図るために10尺品をラインアップした。また、出隅部分にコーナー材を使用しなくてもパネルの突き付けやカバー材を使い、美しい仕上げなど意匠性が高い。このPZシリーズは下地に合板を使用した場合に施工性やモジュール、柱位置などを気にしないで施工を可能にするなど、工期短縮にもつながるのが特徴だ。9月には全国販売を開始する。同社の旗艦商品であるシーリングレス工法の窯業系サイディング「AT‐WALLガーディナルシリーズ」にも、この10尺品や出隅部材レスのPZシリーズがラインアップされており、6尺品と比較して材料費や施工手間が安く設定されているため、限定されて一部地域では既に4棟の施工完了物件があるほか、25~30棟分の引き合いが生じている。  

 

REGプレカット協議会

 住宅外壁用のフルプレカットシステム

 

REGプレカット協議会(愛知県豊橋市)は、施工品質や作業環境で差別化したサイディングプレカット「REGプレカット工法」を展開している。12年の設立以来各地で普及が進んでおり、現在の営業エリアは東海、北陸、関東、東北だ。イシハラ、ニチハ、ネットイーグル、平安コーポレーションが開発した同工法は、CAD・CAMが連動した住宅外壁用のフルプレカットシステム。雨天など現場環境に左右されない施工品質、職人の不足や高齢化にも対応する現場作業の軽減、廃材や粉じんの削減ほかで差別化を図っている。同会には現在21社が参加しており、顧客はハウスメーカーやビルダー、工務店ほかだ。

富国物産

 サイディングプレカット本格普及

 

富国物産(長野市)は、サイディングプレカット「FBシステムデジタル」の普及拡大に取り組んでいる。独自開発したこのシステムは、業界に発表してから大反響が続いており、年内に導入企業を20社程度まで高めたい方針だ。同社は年間約2500棟の外壁材施工を手掛け、粉塵・騒音・廃材処理等の諸課題を解決するため、4年前からサイディングプレカットに取り組んでいる。当初のFBシステムは、図面を使ったスキャナー入力やサイディング専用のCADを使用するなど、業界に先駆けた画期的なシステムだったが、採寸やデータ入力作業に伴うヒューマンエラーも発生していた。その進化形であるFBシステムデジタルは、建物と足場作業床の隙間に着目し、3次元測定器と独自開発したターゲットプレートを組み合わせ、建物から数値を測定することを可能にした。従来はスケールで数値を読み取り、採寸図に記入、CADデータへの入力が必要だったが、デジタル化により、それらすべての工程が省略化できる。

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